え?!傍聴もできないの? ペットボトルは燃やすの?
10/10(金)
08:00~09:30 電話連絡など事務処理をする
10:00~12:30 市内の自治会長さんから話を聞く
13:30~15:10 「福祉村」について市民の方から話を聞く
15:30~15:50 事務処理をする
16:00~17:20 日本教育新聞社から取材を受ける
18:00~19:00 資料を送るなど事務処理をする
19:30~21:00 市民の方からお話しを聞く
●焼却炉の建て替え事業がすすむ
今、平塚市は、ごみ焼却炉の建替えに向けて、急ピッチで準備をすすめています。現在と同じ場所(市内大神)に建て替えます。平成25年使用開始の予定です。
●約300億円の大型事業
ごみ焼却炉の建替え費用は、約150億円。超大型事業です。全国的にごみ焼却炉は、30年以上使う自治体が多くある中で、平塚市は、使用開始から17年が経過した時点で、建替えを決めています。また、新しい炉は、むこう20年間の運営を炉の建設をした民間事業者に委託することになっています。20年間連続して長期的に民間事業者に委託します。この委託費と現在の炉の解体費などをあわせると約300億円にもなる超大型事業です。
●「焼却炉方式」と「溶融炉方式」
現在、平塚市が使用しているごみ焼却炉は、「焼却炉方式」で、「流動床炉」というタイプです。
(↑現在の焼却炉「流動床炉」の図)
新しい炉の候補には、1400度から2000度もの高温を出す「溶融炉方式」も候補にあげています。ちょっと聞きなれない言葉ですが、ごみを燃やすための炉は、大きくわけて二つのタイプがあります。新タイプの「溶融炉方式」と従来からの「焼却炉方式」の2つです。この2つの違いについては「溶融炉・処分場問題を考えるネットワーク」にわかりやすい解説があります。
(↓焼却炉と溶融炉の違い 模式図)
●高温になるほど出る 発がん性の有毒物質
「溶融炉方式」を選んだ全国の自治体の中には、爆発事故を起こし問題になっているところもあります。また、超高温の溶融炉は、発がん性の高い物質が大量に出ることもすでに分かっています。今年の8月には、市民の方たちが、ごみ焼却炉問題の第一人者の梶山正三弁護士をおよびして、平塚で講演会を開きました。梶山先生は、「発がん性の高い有毒物質としては、ダイオキシンがメジャーですが、ダイオキシン以外の有毒物質の99%には、法的規制がありません。」と話しておられました。また梶山弁護士は、融点の低い水銀やカドミウムなどの重金属や非常に発がん性が高い多角芳香族炭化水素(PAHs Poli Aromatic Hydrocarbon )やニトロ多角芳香族炭化水素(Nitro-PAHs)が、高温になればなるほど、大量に発生することを指摘しておられました。
●溶融炉は、プラごみやペットボトルを燃やす必要がある
多量の燃料を必要とすることから、昨今の燃料高騰とともにランニングコストの増大も指摘されています。また溶融炉は、超高温で燃やし続けるので、ごみを減らすどころか、安定的に大量のごみを供給する事が求められます。しかも、プラスチックなどの高カロリーのごみを炉に入れる必要が出てきます。
●どの焼却炉が最も安全?-具体的回答はなし
江口は、9月議会で、平塚市に対して、「どの焼却炉が最も安全で経済的だと考えるか?」と質問しています。しかし、一切、具体的回答はありませんでした。炉の選定は、「次期環境事業センター整備・運営事業者選定委員会事業者選定委員会」に委ねるとしています。
●えっ!?傍聴もできないの?
この「次期環境事業センター整備・運営事業者選定委員会」の第1回目が先月の29日に開かれました。午後3時から委員会が開かれました。江口は傍聴に行ったのですが、なんと、会議が始まって1時間くらいで、委員の一人である野本修氏から、「企業ノウハウにかかわることがある」などを理由に非公開にする動議が出ました。これを受けて、非公開にすることに全員の委員が賛成して、私たち傍聴者は退席させられてしまいました。ですので、私が傍聴できた最初の1時間の間だけですが、その間、議論されたいたことを私のメモをもとにしてここに書きます。第1回目のこの日の選定委員会の様子は、今月4日の湘南新聞でも報じられました。
●次期環境事業センター整備・運営事業者選定委員会
委員長:田中 勝氏
(鳥取環境大学研究・交流センター 教授、岡山大学名誉教授、(株)廃棄物工学研究所代表取締役社長、環境省中央環境審議会廃棄物リサイクル部会長)
副委員長:寺島 均氏
(社団法人全国都市清掃会議 技術顧問、日本廃棄物処理施設技術管理者協議会会長)
委員:大江 俊昭氏
(東海大学工学部エネルギー工学科 教授)
委員:野本 修氏
(西村あさひ法律事務所 弁護士)
委員:中戸川 崇氏
(平塚市 副市長)
委員:吉川 重雄氏
(大磯町 副町長)
任命期間は、平成20年9月30日~平成21年10月30日まで
■委員長田中 勝 略歴
厚生省国立公衆衛生院廃棄物工学部長、第6代廃棄物学会会長、現在、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部長,東京都廃棄物審議会会長,文部科学省21世COEプログラム「循環型社会への戦略的廃棄物マネジメント」拠点リーダー
(上記は、田中氏の著書「循環型社会への処方箋 -資源循環と廃棄物マネジメント-07年3月発行 掲載による)
●事務局側出席者
平塚市より 環境部部長 資源循環課課長 課長代理、大磯町からも職員が出席。また コンサルタントとして委託をうけている日本総研(株)社員 ほか担当者約15名。
●当日の会議次第
1.委嘱状の交付
2.委員会設置要綱の確認
3.委員会傍聴要領の審議
4.委員長・副委員長の選出
5.議題
1)事業コンセプト書について
2)事業者の募集・選定スケジュールについて
3)実施方針について
4)要求水準書(案)について
6.その他
●発言の要旨を報告します。
田中委員長:
事業コンセプト書には、「焼却残渣の資源化による最終処分場の延命化を図るとの視点も重要です」とあるが、焼却灰と飛灰の両方を処理するのか。飛灰までやれればいいが、金がかかる。費用対効果を考えることが大事だ。飛灰も埋めたてる余地がないのか。
田中委員長:
事業コンセプト書には、「公害防止に係る計画目標値は、(略)一部の項目を法的規制値よりも厳しい値を設定します」とあるが、「必要に応じて」としたほうが、いい。必要でないのに厳しいことを言わなくてもよい。運営管理でできることだ。
寺島委員:
「安全安心」の項目を入れたらどうか。
田中委員長:
事業コンセプト書には、「本事業は20年間のPFI(DBO)事業として実施しますが、施設のライフサイクルコスト(30年間を想定)を視野に入れた維持管理、修繕を行う…」とある。30年契約はできないのか。
平塚市:
民間事業者は今のところリスクが高いので、15年~20年くらいしか受けてくれない。
寺島委員:
最近、30年契約する例も増えてきた。
田中委員長:
30年で受けてくれれば、30年と書けばいい。それができないから20年なんじゃないのか。
田中委員長:
ペットボトルやプラスごみを焼却炉に入れて燃やさないのは、中途半端だ。最新炉をつくったら、リサイクルプラザの機能の見直しをしてもいいのか。そこにさかのぼってもいいのか。欧米では燃やして、熱回収いるところがある。途中からは変更できない。
エネルギー回収できる施設をつくるのであれば、容器包装リサイクル法は強制法ではないし、罰則もない。経済的に不利であるならば、国も自治体に対して容器包装リサイクル法(に基づく処理)をしろとは言わない。もう一度よく考えたほうがいい。
ペットボトルやプラごみを燃やさないと決めて、30年後、それでよかったと言える科学的根拠があるか。少しでも合理的な方法を選んだほうがいい。効率化を図るということなら、ペットボトルとプラごみを燃やすということではないのか。リサイクルプラザで処理する場合と、焼却炉でプラごみを燃やした場合と、どちらがいくらになるのか、検討したほうがいい。
中戸川委員:
平塚市としては、ペットボトルやプラごみ関係は燃やしたくない。
●「企業ノウハウ」にかかわるから非公開
野本修委員から、「企業ノウハウにかかわることがある」などを理由に非公開にする動議が出た。これを受けて、市担当者が平塚市情報公開条例を読みあげて、非公開にすることに賛成の委員の挙手を求めた。全委員がこれに賛成し、傍聴者は退席させられた。この日の委員会は初回であり、企業からの提案書も出ていない段階でした。それにもかかわらず、非公開にすることは納得がいかない。
●次回の委員会も非公開の予定
次回の委員会は、来年の2月に予定されていますが、すでに2回目も非公開の予定だと平塚市の担当者は言う。後日、江口が、「議事録は公開してくれるのか?」と問い合わせると、「非公開部分の議事録は公開しない」という。また、9月29日の議事録の情報公開請求を同僚議員がしたが、議事録の公開は、事業者が決まった後の1年後になると言う。
●今後の委員会開催スケジュール
この次期環境事業センター整備・運営事業者選定委員会の今後の予定は、以下のとおりで、来年の9月には建設・運営の事業者が、この委員会の中で決定する予定だ。
2回目 09年2月
3回目 来年4月末~5月
4回目 来年8月末
5回目 来年9月
●一般競争入札ではないのに・・・
開催スケジュールは上記のとおり。つまり、6人の委員による5回の話し合いの中で、ごみの炉の建設・運営事業者が決定する。決定した事業者と随意契約を行う。「一般競争入札」でもないし、価格以外の要素を盛り込んだ「総合評価一般競争入札」でもない。
●まったく市民の手の届かないところへ
競争入札ではないのだから、事業者を決定するまでの過程の透明性をいかに担保するかが大事なのに、この委員会は、市民はもちろん議員も傍聴もできない。議事録も公開されない。ごみの炉建設事業は、金のかかる事業だ。建設費だけで約150億円。建設する民間事業者に丸ごと20年間の委託をする。建設費と運営費などをあわせて約300億円にもなる大型事業で、その事業者を決定する委員会の議論は、市民のまったく手の届かないところで繰り広げられる。
●市は選定委員会におまかせ そこで出る「プラごみ燃やせ論」
繰り返しになりますが、江口は、先の9月で、平塚大蔵市長に対して、「どの焼却炉が最も安全で経済的だと考えるか?」と質問していますが、一切、具体的回答がありませんでした。炉の選定は、「次期環境事業センター整備・運営事業者選定委員会事業者選定委員会」に委ねるとしているのです。つまり、平塚市は、ごみの炉についてノーコンセプトなのです。すべてをまかせしている選定委員会では、田中勝委員長が、「プラごみやペットボトルは、効率化を図るためには燃やすべきだ」と主張しているのです。これから本格的な議論がなされるのだろうと思われますが、私たちは知るすべがない。市民の税金でつくる炉の選定にまったく市民がかかわれない。こんなおかしなことが許されていいのだろうか。