方条遼雨氏(身体思想家/場づくりコンサルタント/玄武術「天根流」代表)考案の「ディベートしない話し合い」とはどのようなものかをまとめました。◼️こちらのリンク先から PDFでダウンロードもできます。 「ディベートしない話し合い」は、考案者の方条遼雨氏のご厚意で、どなたでもご自由にダウンロードしてお使いいただけるようになっています。みなさまの職場やサークル、ご家族やお仲間など、大切な人との話し合いの際に使ってください。

【ディベートしない話し合い】

□自分が正しいという前提で話さない 

□その場で他者の考えを変えようとしない
 
□結論を固定して話し始めない 

□その場で無理に結論を出そうとしない(結論が出なかったら「出ない」という結果で保留する)

□他者の発言中に口を挟まない   

□持ち時間は平等にふる/話すよう心がける 

□どんなに拙くても的外れでも、「発言したこと」そのものを祝福する 

□自分と全く違う考えの人との共存を前提にする 

□目の前の人がどんなに違う考えでも、まずは心穏やかに「この人はこういう考えを持っている」という「事実」を受け入れる
 
□自分と違う考えの人がいても自分の存在や考えが否定されたと思わない


□場が成熟してきたら、まずは友好的な質問で慣らしていきながら、自分は違う考えですよと、否定はせずに違いは表明していく。聞く側はそれを穏やかに聞く


□場を取り仕切る司会者は、いざという時に介入する権限を持つが、「権限をできるかぎり使わずに望ましい状態を実現できているかどうか」を自己採点基準とする。同時に場を侵食する行為に対しては、的確かつ即座に介入できるという二重性を心がけ、養う。

□最悪のことはいつでも起こりうるという可能性に対する備えと、心は完全に開いてあなたの善意を信じますよというオープンマインドのメンタルの二重性を同時に持つ。

□「責任者が介入せずとも、メンバー間で自然に調整して進んで行く状態」がどれだけ実現できているかどうかを、「場の成熟度」を量る指針とする。

2021年 方条遼雨

【ディベートしない話し合い】考案の方条遼雨氏

【『ディベートしない話し合い』とは(方条遼雨氏による解説から引用)】 ◇テレビ番組などでもそうですが、討論の場面を目にすると、人の話しをさえぎったり、他人を押しのけて前に出る人ばかりが優先されやすい傾向にあるように見えます。

◇私には、それがとても下品な事だと感じます。 本来、司会者やまとめ役が均等に話を振ってそれぞれの意見を有効に引きだせれば、もっと有意義な空間が作れるはずなんです。

◇『ディベートしない話し合い』のコンセプトは、その場にいる人たちが言葉を通じて「戦う」のではなく「一緒に豊かな場を作り上げる」ということです。 そのためにいくつかのルールさえ押さえておけば、多様な意見を建設的に交換し合う事ができます。

◇そのルールは以下のようなものです。 1結論を固定しない 互いに最初から結論を固定した議論は、なかなか知性を磨くことができません。 互いの主張を押し付け合うことに終始してしまい、元々の考えを越えた結論に到達する可能性を、自ら制限してしまうからです。

2「自分が絶対正しい」というスタンスで話さない ◇3 人が話している時は、さえぎらない ◇4それぞれの発言時間を均等にする  例えばタイムキーパーを置いて、発言時間を均等に割り振り、持ち時間を超過した人は話せないようにする。 前に出て話してばかりいる人は、自然と持ち時間がすぐに無くなる仕組みとなります。

5 人の意見を聞く これは大事なポイントです。 全く考えの違う人たちでも、それぞれの考えをカタログを見せあうように、ああそうですねと聞き合う。 理想的には違う考えに触れた時、そんな考えもあったんだと自発的にバージョンアップの材料にしていくような場になるといいですね。

◇6 勝ち負けを決めない 争わず、考え方が違ったら違ったままで置いておく。 7 その場で人の考えようを変えようとしない

◇自分の意見の表明は、聞いた人が自発的に変わるきっかけになる所までで良いのです。 人が本来他人にできる事はそこまでです。 変わらない人は変わらないし、変わろうとする人は変わっていく。 それは、本質的にね個々の自由なのですから、無理に強制しようとしない

◇クリエイターや指導者の養成・会社など組織の改善プログラムにも、有効に機能すると思っています。 ポイントは、自分から話す人だけがしゃべるのではなくて、みんながきちんと発言できる場を作ること。 自分とかけ離れた考えの人と触れ合うことは、「自分」という枠組みの外へと思考を拡張してくれます。

◇けれど、たいていは拒絶反応を起こして、反射的に相手をつぶしにかかってしまう。その心理の働きを押さえながら、豊かな場を作りたいのです。

◇人間の成長においてとても重要な能力、『待つ』ことができるようになります。 これは、その人の上質さを決める大きな要素です。 待てないと反射的に不快をあらわにしてしまう。 けれど、不快の向こう側から何かを掘り出してきたのが人類の進化なんです。

◇例えば、ウニの様な不気味な生物に出会っ時、単に見た目の不快だけで終わらせず、「その先にあるもの」まで掘り進んで行くと、開けた先に美味しいものが待っていたりする。 人類は「不快の向こう側」に手を伸ばし、進化してきた歴史なのです。 「瞬間的嫌悪感」だけに支配していまうと、その可能性を閉じてしまいます。