川島なお美さんのステージを見たかったな
川島なお美さんが亡くなってしばらく考えていたんだけど、彼女はとても強い人だなと思う。癌患者に限ったことじゃないど、治らない病気、つまり死ぬかもしれない病気になったとき、「どう死ぬか」という問いと向き合わないといけない瞬間が出てくる。まぁ、考えてみたら誰でも死ぬわけで、死を考えることは特別なことではないんだけど、いざ自分の目の前それが迫ってくると、これがものすごい迫力で、うろたえる。
すっかりうろたえたところに、患者にとっては圧倒的な力を持つ医師が、もちろん善意で抗癌剤使用をすすめるわけだから、それ以外の選択をするのは意外に難しい。
死に向き合うことは、生きることを指向することとはまったく矛盾しない。死をとらえつつ、そこを見据えて、生を組み立てる。生はより濃く強くなる。亡くなる直前も、川島さんはステージの上で輝いていただろうだな。女優・川島なお美という人は、とても自律した女性だったんだなと、亡くなってから知った。ステージを見てみたかったな。