平塚市民病院経営破綻 市からの無条件貸し付けには反対


新病棟建築中の平塚市民病院 経営破綻で市から借り入れ(写真撮影:2014年12月)
●平塚市民病院の経営破綻 市から貸し付けする予算案に反対
昨日の平塚市議会本会議で、私は、平成27年度平塚市民病院事業会計予算案と26年度補正予算案に反対をしました。この予算案は、経営破綻した平塚市民病院の赤字補填のために、市から今年度内に5億円、来年度に10億円を貸し付ける、という内容のものでした。借りたお金は10年後にまとめて返済する予定です。この予算案に反対したのは、私のほかに端文昭議員と鈴木亜紀子議員です。他の議員は賛成をしたのでこの議案は可決しています。
●なぜ経営破綻したのか 人件費の高騰 
平塚市民病院は、累積赤字が平成30年度までに35億円にのぼるとしています。経営破綻の要因の一つは人件費の高騰です。人件費が増えているわりには収益があがっていません。収益に対する人件費率は平成22年度は55%でした。それが今年度は63%になっています。人件費が経営を圧迫していることは明らかです。こうした状況にあるので、平塚市は、当面の間は職員数を増やさないことを求めています。これを受けて病院は、職員数据え置きの収支計画書を市に提出し、貸し付けを願い出ています。
●職員数は増やさないんじゃなかったのか?

経営が安定するまでは職員数を増やさない。これはかっちりとした合意なのかと私は思っていました。しかし、どうもそうでもないんだとすぐに分かりました。先月、経営破綻の経緯を議員に対して説明する会が行われました。その席上で、市民病院トップの事業管理者は、「がん診療連携拠点病院の国指定はお金がかからないので、早くやりたい」と発言されました。これは聞き流せない話しです。がん診療連携拠点病院の指定をとるためには、職員数の増員が不可欠です。当然金もかかります。人件費を抑制する計画で貸し付けを求めながら、同時に大幅な人件費増がみこまれる事業を予定している、というのは問題です。


⬆ 目下、建替え中の平塚市民病院だが、経営破綻の原因は建替えとは直接の関係はない。主な要因は人件費の高騰だ。

貸し付け条件「経営改善計画書」は単なる方便 
本会議質疑(3/5開催)を通じて私は、事業管理者の「がん診療連携拠点病院はぜひやりたい」という発言は、『経営改善計画書』という文書上に「慎重に検討する」とあることとも矛盾していると指摘しました。改めて事業管理者に意向を聞くと「そうでも言わないとお金出してくれないから」と発言しました。多額の税金の貸し付け条件になっているにもかかわらず、『経営改善計画書』は、単なる方便だからといわんばかりに策定者自らが反故にしているところに、貸し付けるべきではありません。

●生きたお金の使い方をして欲しい 
本会議質疑では、さらにいくつかの矛盾点を指摘することになりましたが、事業管理者は「そんなふうに言うなら我々は辞めざるを得ない」という趣旨の答弁を加えました。なにも私は、市民病院に税金を使うなと主張しているわけではありません。35億円の累積赤字が出るというなら、例えば、20億は市が出すが、あとの15億は経営努力を求めるとかするべきではないでしょうか。経営努力を求めず、無条件に税金をつぎ込むだけでは、「努力しなければつぶれることもある」という組織が持つべき当たり前の緊張感を失ってしまいます。市民病院が大切だと考えるのであればなおのこと、ここは冷静な判断が必要なのではないでしょうか。患者ニーズや症例数にあわせた実のある経営改善計画に作り替えるためにも、実質無条件の多額の貸し付けは、いったんとりやめるべきだと考えて、私は予算案に反対しました。