体の声を聴くために 治療メモのすすめ


写真:烏賀陽弘道氏撮影
体の声を聴け!サバイバーからの手紙
​抗ガン剤でガンの再発を防げると信じて疑わなかった私は、薬によって短期的にダメージを受けても、じき回復するものだと思い込んでいました。なのでたとえ体が悲鳴をあげても、そんなことで弱音を吐いちゃいかんよと自分の尻を自分で叩き、とことんまで頑張る決意でいました。そんななかで、毎週のように手紙をくれた女性がいました。いつも「身体の声を聞いてくださいね」と書いてありました。差出人は、これまでに4度もガンを乗り越えてきた方で、その時の経験からアドバイスくださいました。私はこの手紙がなかったら、抗ガン剤治療を頑張りすぎてその副作用で死んでいたのでないかと、今も当時を振り返って思います。
体の悲鳴をキャッチ!
「もうやめとけ」。そう体が言っていると感じるようになったのは、治療を始めてから10ヶ月くらいたったころです。体の悲鳴の聴いたと確かに感じました。そもそも抗ガン剤治療は、薬でガン細胞もろとも体の細胞を一旦死滅状態にして、元気な細胞だけ再生させ乗り切ろうというコンセプトのシロモノなんですが、私の場合は、度重なる攻撃を受けているうちに、ガン細胞以外のほかの細胞も力を失くしていきました。特に事態を悪化させたのは、「エンドキサン(医薬品名シクロフォスファミド)」という抗ガン剤で、これによって血液中の白血球数が急減しました。免疫力を失ったために、一ヶ月間38度を超える高熱が断続的に続きました。次第に、歩くことはおろか座位を保つのも苦労するようになりました。「もうやめとけ」と体が言ってきたと感じたのは、このころです。あの時、体の悲鳴をキャッチできたのはガンサバイバー女性からの手紙のおかげだと思います。
体の声に耳を澄ます そのためにメモを
抗ガン剤治療については患者のなかでも賛否わかれるところで、ここではそこに踏み込んで書きませんが、体の声を聴くというのはとても大事だと思います。そのために私がおすすめしたいと思いますのは、「治療メモ」をとることなんですが、参考までに、「もうやめとけ」の声を聴くことになった抗ガン剤エンドキサンで治療していたころの私のメモ(2011年11月時点の記録)をはりつけます⬇。

抗ガン剤の点滴が終わったら、その都度点滴パックに貼ってあるシールを看護師さんに頼んで剥がしてもらい、これをノートに時系列に貼付けていきました。体のダメージ具合も書き入れました。こうすることで、何の薬を使ったのか間違えることなく把握できましたし、記録をつけることが体の声に耳を澄ます手助けになりました。また医師の診察の際にメモを持ち込み、診察室でメモを広げ話し合いの材料にもしました。