市民税増税 『国家としての一貫性を損なわないようにするため』
市民税(住民税均等割額)の増税について、反対の理由を、12月議会最終日に述べ、同僚議員に対して増税に反対するよう求めました。その内容を以下に書きます。
●市民税増税は、復興増税パッケージのひとつ
昨年国は、復興増税のひとつとして、全国の市町村と都道府県に対して住民税値上げを求める法律 復興増税関連法をつくりました。市民税の増税は、この復興関連法を受けたものです。この増税案は、平成26年6月から10年間、年収100万円以上の市民の方に対して、一律に年間500円増税されるものです。すでに、神奈川県では、今年2月に議会全会一致で改正条例案が可決成立していますから、県民税と合算すると年間1,000円の増税になります。市民税を年間500円アップしたことによって平塚市に入る税額は、年間約6,000万円です。
●これは、復興のための増税ではない
一般に復興増税と聞けば、昨年の東日本大震災により大きな被害をうけた東北エリアの復興にお金が使われると思う方が多いと思いますが、そうではありません。あるいは、また、東日本大震災を受けた防災対策の強化と聞けば、311以降明るみになった脆弱な津波への備えを講じるべく避難タワーでもつくるのかと期待するかもしれませんが、それもしません。
●増税分は、借金返済の一部にあてる
実際は、消防救急無線のデジタル化や災害用備蓄拡充、公共施設の耐震化などをすすめるための借金をすでにしていて、その借金返済に年間6,000万円の増税分が使われることになっています。これでは、増税分が具体的に目に見える形になってこないので、市民の理解は得られないでしょう。増税しても何に使ったのかさっぱりわからなくなってしまいます。
●仮に増税するにしても再来年から なぜ今決める?
仮に、市が市民税を増税しなくても違法にはなりません。実際に国が決めた標準税率よりも下げている名古屋市では起債制限がありません。そうであるのに、また、行政改革が不十分でほかにいくらでも切り詰めるべきところがあるにもかかわらず、国に言われるまま、増税すれば、市民に説明のしようがありません。仮に増税するにしても、法が定めた増税開始時期は再来年6月です。まだまだ時間が十分にありますので、ここで急いで条例改正する必要はありません。さらに慎重に検討を加えていただくことを求めるものであります。
●増税 「国家としての政策の一貫性を損なわないようにするため」
私は、総括質問のなかで、必ず市税の税額を上げないといけないのか、と尋ねました。それに対し、市は、「増税しなくても違法ではないが、国家としての政策の一貫性を損なわないようにしたい」と答弁しました。これを聞いた私は、一瞬、自分の耳を疑いました。地方分権はどこに行った?と声を大にして言いたいところです。
●次の増税テーマは 「防衛」や「国防」かもしれない
今回、国が語った増税のテーマは、「防災」でしたが、次の増税テーマは「防衛」だったり、「国防」だったり、するかもしれません。各自治体で防衛対策を強化すべしと、今後、国がさらに標準税率を500円引き上げることがないとは言い切れません。そのとき市はどうするのでしょう。またしても、市長は、国が枠組みを広げてくれてありがたいとおっしゃって、増税するのでしょうか。国に従い増税し、国家としての政策の一貫性を損なわないようにしていったその先には、一体何が待ち構えているでしょうか。暗澹たる思いになります。
年間500円の市民税均等割額の増税だから金額が少ないしそれほどの問題ではない、そう思ってこの条例改正案に賛成なさる議員の方もあるかもしれません。しかし果たしてそうでしょうか。問題はそれだけでしょうか。十分に考慮した上で、慎重にご判断いただけることを願って、反対の討論といたします。