対策を強化した北東北は自殺率を下げた

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06:00~8:30 HPの更新
10:00~11:45 神奈川県保健福祉事務所に県のメンタルヘルス施策について話を聞きにいく
12:30~ 移動
14:00~16:30 欠陥住宅の問題で横浜関内の建築士に相談に行く
17:00~19:15 横浜市議らと都市計画についての勉強会@横浜市会
20:30~21:45 市民の方と10月に開催予定の財政の講演会の打ち合わせ
●対策を強化した北東北は自殺率を下げた●
秋田県では、本橋豊先生率いる秋田大学と連携して、県をあげて自殺対策に取り組んできています。その結果、平成平成13年から16年までの4年間で、自殺率が下がってきています。
秋田以外でも、青森、岩手県の北東北では、対策を強化させることで、自殺率をさげてきています。積極的に対策をとっていない、宮城や山形、秋田県の自殺率が横ばいであるのと比べるとよくわかります。
●地域の力で自殺を防ぐ●
本橋先生は、「自殺を防いでいくためには、単にうつ病対策をしていてもだめで、福祉も含む総合的な取り組みが必要だ」と指摘しています。成果を持続させるためには、医療関係者だけでなく住民を巻き込んだ地域の活動を持続させることだ大事だとしています。では、まず、何からはじめればいいか。2000年、自殺対策をすすめようとした秋田県が、市に自殺対策をすすめようと投げかけたのですが、「イメージが悪い」と断る市町村があったそうです。
自殺対策をすすめるためには、「問題の認識を持つこと」「問題解決へ向けた社会的合意の形成」が必要だとしています。その上で、「自殺予防の地域ネットワークの形成が第一歩」だとしています。
地域ネットワークとは、行政担当者、NPOやボランティア、大学などの専門家、マスメディア、商工会議所、ハローワーク、警察や消防、教育委員会、民生児童委員、社会福祉協議会、保健師や看護師、医師や医師会、保健所が参加してネットワークをつくる。地域の有力者に集まってもらい、この問題は誰に相談するのがいいのか、わかるだけでも価値があるとのことでした。

●秋田県の自殺予防対策●

秋田県は自殺予防対策に5つの柱をもうけて、取り組んでいます。
 ①情報提供と啓発
 ②相談体制の充実…さまざまな分野の相談窓口をネットワーク化
 ③うつ病対策…精神科医師以外の医師へのうつ病研修、住民対象のうつ講座の開催、民生委員への研修、労働局との連携
 ④予防事業の推進…うつ病の傾向を診断するスクリーニングの実施、ハイリスク者に対する個別面接指導、町のメンタルヘルスマップの作成、町の保健担当者との事業の推進
 ⑤予防研究 
これら5つの取り組みを通じて、以下3つの目的を達成しようとしています。
 【1】地域のネットワークの構築 
 【2】うつ病の知識の増加 
 【3】住民のエンパワメント

●秋田県藤里町の取り組み●

秋田県では、モデル町をつくり、積極的に市町村レベルの取り組みもすすめています。そのひとつ、藤里町では、心の健康づくりパンフレットを作成して全戸に配布しています。
また、心の健康づくり巡回相談事業を行い、出前講座や専門家による個別相談を実施していますし、住民たちが、誰でも気軽に話しができる週に一回のサロンを開催しています。秋田県藤里町は、最近痛ましい事件があったところですが、町は、「今後も事業はすすめていきます」と話をしているそうです。藤里町を含む6町のモデル町では、4年間で53%自殺率が減少しています。
●互いに助けあう気持ちがる地区ほど抑うつ度が低い●
秋田県平鹿町で、平成17年4月に住民調査を行っています。その調査からは、近所の人とお互いに助け合う気持ちがある地域ほど、抑うつ度得点が低いという結果が出ているそうです。社会の信頼性、関係性が強化されると、自殺予防の効果が高くなることがわかっています。
●自殺対策は「地域を耕すこと」●
本橋先生の話を聞いていて、わたしは、自殺対策は、「地域を耕すこと」なんだと思いました。自殺に対する偏見をなくし、うつ病に対する理解を増加させ、地域に対する人々の信頼感を醸成する。自殺しやすい地域を(国を)、追い詰められて自殺する人を減らす町に変えていくことが、自殺対策なんだな、と改めて学びました。
講義