ツインシティ整備事業 助成4,000万円 委員会で可決

●区画整理事業 土地の値上がりがカギ 
ツインシティ整備事業は、組合施行の土地区画整理事業、と呼ばれている手法ですすめようとしています。ちょっと聞くだけだとわかりにくいのですが、つまりこういうことです。いま、このエリアは、田畑が広がっています。地権者の多くが広い農地を持っています。この地権者さんたちの土地の一部を事業に供出してもらいます。農地を売ってもたいしたお金にはなりませんが、ここに公共下水道をひき道路整備し、宅地の開発できるようすれば土地の価格があがります。この土地価値の増進分プラス税で事業をすすめていきます。地権者にしてみれば、売れない農地が高く売れるし、新たな街ができれば、人口が増える、人が増えればまちも活気づく。こういう発想で、全国のあちこちですすめられてきたのが、組合施行の土地区画整理事業と呼ばれるものです。土地が高く売れればいいのですが、今は土地が売れない時代なので、全国のあちこちの区画整理事業がうまいことすすんでいません。
●事業計画書や収支計画書をつくるのは、これから 
土地が売れない時代。おまけに311大震災以降の景気の先行き見えない、ときています。そんななかで、今まさにすすめようとしているのが、「ツインシティ整備」です。あ、補足ですが、なぜツインか、というと、平塚市と隣町の寒川町二つの開発事業だから、そう呼んでいます。一級河川である相模川に仮称ツインシティ橋をかけ、寒川町内に新幹線新駅を誘致して、川のむこうとこっちで一体の開発をすすめようというので、それでツインシティ整備事業。
この巨大で壮大な計画は、平成14年くらいから行政ではたくさんの計画書がつくられてきました。ここにきていよいよ具体的に走りだそうとしています。その走り出しに、現在開会中の9月議会で可決したら、4,000万円の補助金を出して、事業計画や収支計画をつくる段取りになっています。事業計画書や収支計画書は、地権者らが自分ではつくれないので、コンサルタントに委託します。その委託費が総額8,000万円です。市はこの委託費の半分を出す、わけです。
最終的な責任者は地権者というが
私は、先日、この補正予算4,000万円を審議した都市建設常任委員会で、「(地権者らでつくる組合で準備することになっている)残りの4,000万円はどうやって工面するのか?」と質問しました。それに対する回答は、「事業協力者に残りの4,000万円を支援してもらう」というものでした。事業協力者とは、具体的に土地造成や道路整備やらすすめる事業者のこと。ゼネコンとか、ですね。つまり、事業計画書や収支計画書も、市からの税とゼネコンとかにお金を出してもらってつくる、というわけです。
例えてみるならば。家を建てたい。だけど自分がいくら稼げるかいくらなら金を返せるかもわからないので、まずは青写真を描こう。でも青写真を描くにも金がいるのでそのお金も借りよう、という感じではないか。「青写真」を描く金を自分で工面できないのに、どうやって数百億にものぼる巨大事業の最終責任者になりうるのだろう。おそらく、地権者さんたちの感覚は、市や県がすすめる事業に協力している、というものではないだろうか、と推察します。公が決めたことだし、地域もやると言っているし、公がかんでいることだし。そんなにひどいことにならない、という感覚なんじゃないだろうか。

●泣くに泣けない 土地が売れない時代の区画整理事業 
ですが実際はかなりシビアです。平塚市の市域西部の真田エリアで、同じように地権者が組合つくってすすめらてきた区画整理事業(平塚市真田特定土地区画整理事業 総事業費72億円・うち市からの補助26.4億円)は、宅地開発した土地が売れず、借金が増えて、困りはてています。平成21年に平塚市が2億円の追加助成をしていますが、それでもぜんぜん追いつかずにいます。借金がふくらみ先行きが見えないなか、なんとか行政でしてもらえないか、と地権者たちは真剣に訴えています。行政の事業に協力したつもりが、地権者の方たちの一人ひとりの生活に、人生に、重くのしかかってきています。
すでに、痛い思いを私たちはしてきているわけです。市内真田の区画整理事業と同じ轍を踏むでしまうのではと心配している議員もたくさんいて、実に悩ましい事業だと思っているのも事実。ですが、結局、先日の都市建設常任委員会で賛成多数で補正予算が可決しています。