なぜ、いま「まちづくり条例」が必要なんだろうか?

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10:00~12:00 シンポジウムのための資料印刷を
13:30~15:45 まちづくり条例のシンポジウム 国分寺市の都市計画課長松本昭氏を呼んで
16:30~18:30 シンポジウムの懇親会に参加
今日、国分寺市のまちづくり条例を策定した都市計画課長の松本氏(写真 都政新報のHPから引用)の講演会でした。私はこのシンポジウムのお手伝いをしていたわけですが、70人を超える方が集まってくださったのには、正直言うとびっくりしています。晴れた土曜日の午後に、参加料300円を払ってこれだけたくさんの方が来てくださったというのは、このまちの方が、まちづくり条例について強い関心と期待を持っているという証ですよね。
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松本さんのお話で、まちづくり条例が、マンション問題などの規制だけでなく、そのまちにあるさまざまな課題をクリアするためのもので、幅広く捉えることができるということがよくわかりました。私が、松本さんのお話を聞いて、掻い摘んでここに報告しては、その大事なメッセージがうまく伝わらないと思いまして、長くなってしまったのですが、松本さんのお話をもとに多少私が補足をする形で、今日の講演会の模様をお伝えしたいと思います。もっと詳しく知りたいという方は、メールをいただければ今日の資料を添付してお送りします。
また、11月6日(土)に、続けて国分寺市まちづくり条例」のエッセンスを学ぼうということで、勉強会を企画しています。この企画は、都市計画などを大学で専門的に学んできたわけでもない素人の私の視点から、国分寺市のまちづくり条例のどんなところがすごいと思うのかをお伝えしながら、一緒に学んでいこうというものです。市民活動センターで夜の7時からはじめますので、こちらにもぜひいらしてください。お待ちしております。
↓以下は、今日のシンポジウムの松本さんの講演の主な内容です。
●なぜ、いま「まちづくり条例」が必要なんだろうか?●
まちづくり条例は、行政と市民とが役割分担して一緒に地域を管理していく、そのためのルールであるというのが一番大きい。官が統治するガバメントから、共治を意味するガバナンスへ移っていくためのルールづくりとしてのまちづくり条例。この意味合いがもっとも大切です。マンション紛争などが次々に起こるので、その対応を強く市民が求めているということもまちづくり条例を必要とする社会的背景です。
もう1つは、国の主導で統一的な「まちづくり」をすすめるのではなく、地域の特性を生かした「まちづくり」への期待があります。まちづくり条例の形にはさまざまなものがあります。そのまちにどのような課題があって、何のためにどういうことを狙って条例をつくるのかを鮮明にしていく必要があります。一番大切なのは、平塚市が何のためにまちづくり条例をつくるのか、ということです。
●「まちづくり条例」は行政環境も変えます●
まちづくり条例の目的は3つ。
①まちづくり施策の総合化 
②市民の「参加」「参画」「協働」のまちづくりシステムの確立
③地域固有のまちづくり課題・地域課題に取り組む
市役所のなかは縦割りです。まちづくり条例をつくることで、行政の縦割りを横につないでいきます。これは国の法律では絶対にできません。たとえば、鎌倉市には交通マスタープラン、都市マスタープランなどたくさんのマスタープランがありますが、「まちづくり条例」には、これらのマスタープランをつなげるなど、まちづくり施策の総合化を図るという目的があります。
これまでの行政中心のまちづくりから市民が参加、参画、協働しながらまちづくりに関わる、そのシステムをつくっていくことは、法律では限界があります。
●「参加」「参画」「協働」、この3つは何が違うのか●
「参加」…主体は行政。市民は意見を言うことができるが、計画づくりに参加したり、決定したり、その計画を実施したりする権利がない。
「参画」…主体は行政。計画づくりに参加することはできるが決定権や実施権はない。
「協働」…主体は市民と行政。市民がかかわる度合いが一番大きい。計画の実施も市民が担う場合もある。
この3つの手法のどれを選んで、条例をつくっていくのか、現状を見据えながらスタートさせる前に決めていく必要があると思います。
●市民参加による「まちづくり条例」の作成類型は5つある●
市民が参加して条例をつくるというのはまだ歴史が浅く、正直に言って混乱しているというのが実情です。まちづくり条例の策定方法は5つに分類できると考えています。この5つの手法のうち、今後平塚市がどのような手法で条例をつくるのか、行政と市民とが一緒に議論して決めていかないといけない。
いまの平塚市の状況を見て、どの手法ですすめていくのかを決め、最初に、市民と行政の役割を分担しておかないといけません。
<まちづくり条例の策定方法の類型>
①「行政単独方式」--― 行政内部だけで条例案をつくる方法。いままではほとんどこれ。
②「諮問答申方式」--― 専門家からなる委員会をつくりここでつくられた条例原案をもとに行政が条例をつくる方法。市民が委員会に参加すれば限定的な市民参加は可能。この手法をとる場合が多い。鎌倉市や町田市はこの手法をとっている。
③ 「ワークショップ方式」--―ワークショップなどによって、課題や市民以降などの素材を集め、おの素材をもとに行政主導により条例案をつくる方法。基本的な魂を入れるのは市民で、その魂を形にするのは、専門的は知識を持った専門家が行い役割分担する。狛江市や杉並区のまちづくり条例がこれにあたる。
④「共同検討方式」--―検討段階から条例案の作成にいたるまで市民と行政が協働してすめる手法。条文を作るというところまで市民が関わるので、見識と専門知識を持った複数のリーダーが必要になる。国分寺市はこの手法をとり策定までに3年かかった。
④「市民主導方式」--―行政が市民組織に条例原案の作成をゆだねる方法。法律に違反しているところだけ、行政がチェックして、基本的にはそのまま議会にかける。市民組織に専門家がいないと困難。逗子市まちづくり条例は2002年にこの手法をとって策定されている。
●市民参加のまちづくり条例 市民サイドと行政サイドの課題●
<市民サイドの課題>
市民は行政に要求をつきつけるだけでなく提案できるような形の参加でないといけない。市民どうしで利害が対立する場合には行政にそれをぶつけるのではなく、市民相互で議論できるようにならないといけないのだが、これがなかなか難しい。また、「どこそこの団体が作った条例でしょ」と言われないように多くの市民が自発劇に参加できるように輪を拡げていくことが重要です。
<行政サイドの課題>
最近特に感じるのは、市民参加という風潮のもと、「ポリシー無き市民参加」や「市民への過度の依存」が安易に行われていることです。条例づくりにおける市民と行政との連携や分担などの協働の方法やルールを具体的に示して、市民参加による条例づくりのぜんたいのプロセスを共有化することが大切です。
そして、どの手法で市民参加をすすめていくのか事前に役割を市民と行政とで共有しあうことが、市民参加の条例づくりの第一歩です。
●国分寺市のまちづくり条例のあらまし●
国分寺市は、平塚市や鎌倉市とは違って特定行政庁ではなく、開発や建築などの許認可権がありません。そのため、国分寺市には住宅地としてのある程度のブランドがありますが、開発に関するコントロールが遅れていました。国分寺市の課題は、数少ない緑地や農地をいかに守るか、また国分寺崖線(こくぶんじがいせん:立川から田園調布までのびる斜面緑地のこと。有名な緑地に等々力渓谷や成城大学の緑地などがある)の湧水をどうやって残していくか、ということであった。
平成13 年7月にまちづくり条例を白紙の段階から検討する「都市(まち)づくりサロン」を発足させ、これまで192回のサロンを開催して、のべ1300人近い市民が関わって、「提言」をまとめました。この提言を形にするために、市民、専門家、市職員からなる「まちづくり条例合同検討会議」(座長 小林重敬横浜国立大学教授)を設置して、条例案をまとめました。
この条例は、地方自治法に基づく「自主条例」を基本にしながら、都市計画法に基づく委任条例の性格をあわせ持つ「複合条例」の性格を持っています。99条の条文を持つ非常に長い条例になっています。
●国分寺市のまちづくり条例の特徴●
■<国分寺崖線と農地を守るために>
国分寺崖線と呼ばれる斜面緑地のなかに、建築物を建てる場合には、高さを5階までの15メートル以内にすること、有水源の周辺で行う開発事業には、地下水位や有水源の観測を行うことなどを開発の基準にしています。
また、国分寺市内の農地が相続の発生時に叩き売られるという状況をなんとかしようと、「都市農地まちづくり計画」の規定を設けました。
■<開発事業はまず住民と事業者の話し合いから>
(また通常の開発事業は、住民に知らせるよりも前に行政に届出を出し、法律に触れていなければ事業者サイドの計画どおりにすすめられるわけですが)、こうした「法令に基づく行政協議先行型の開発手続き」を「条例にも基づく地域共生型の開発手続き」に発展させていく必要があります。
このために、国分寺市のまちづくり条例では、まず住民と事業者で開発事業の調整を行い、そのあとに住民と市と事業者の3者が協議するシステムをつくっています。最後に、事業者と市とが開発事業の手続きをするという手順ですすめられていきます。時間は当然かかりますが、地域にとってメリットがあるように開発をすすめていくようにしています。
その代わり、地域環境に十分に配慮した計画には、地元住民への説明手続きなどを省くことができる「開発事業の速達手続き」を設けています。
■<都市提案制度の活用を応援します>
平成14年の都市計画法の改正で、市民も都市計画を提案できるようになりました。0.5ヘクタール以上の土地で、土地所有者の3分の2以上の同意があれば、その土地の用途を変更することができるようになりました。
たとえば、横浜市の栄区では、この都市計画提案制度を使って、近隣住民が、高さ31メートルまでのマンションを建てることができる工業地域から高さ15メートルまでしか建てることができない第2種中高層住居専用地域に用途を変更しています。
国分寺市のまちづくり条例は、この都市計画提案制度を市民が使いやすいものにするために支援規定を設け、手続きを透明で公正なものにするため、市民参加の手続き規定を設けています。
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6:50~8:00平塚駅西口街頭でチラシ配り
9:00~10:00松風町でチラシのポスティング
10:30~12:00茅ヶ崎で開かれている社会福祉法人工房絵の展覧会へ
15:00~16:30市役所開発審査課へ
17:00~19:00HPの更新など